【第2章】自由研削用といし②
第1節 研削といしの概要②
1.と粒
加工物を削る刃物に相当し、加工物より硬い。
現在研削といしに使用されていると粒は大きく分類して次の4種類になります。
①アルミナと粒(A系と粒)
②炭化けい素質と粒(C系と粒)
③ダイヤモンドと粒(SD)
④立方晶窒化ホウ素と粒(CBN)
これらのと粒は硬度、靭性(じんせい/粘り強さ)、フライアビリティー(砕けやすさ、割れやすさ)が各々異なるため、被覆材、研削方式、要求精度などによって最適なと粒を選定します。
砥粒の硬度・靭性
砥粒 | 硬度 | 破砕性 | 被削材 | 用途 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
一般砥粒 | A系砥粒 | A | 2050 | 50 | 炭素鋼・合金鋼 | 普通研削 |
WA | 2070 | 55 | 炭素鋼・合金鋼 | 軽研削 | ||
PA | 2060 | 48 | 工具鋼・合金鋼・鋳鉄 | 普通研削 | ||
SA | 2060 | 38 | 炭素鋼・合金鋼・鋳鉄 | 高能率研削 | ||
CX | 2190 | 25 | 炭素鋼・工具鋼・合金鋼・鋳鉄・ステンレス | 高能率高寿命研削 | ||
C系砥粒 | C | 2500 | 64 | 鋳鉄 | 軽研削 | |
超硬合金、アルミニウム、石材、ゴム | 普通研削 | |||||
GC | 2500 | 70 | 普通研削 | |||
超砥粒 | CBN | 4700 | – | 各種鋼材、鋳鉄 | 高能率高寿命研削 | |
ダイヤ | 7000~8000 | – | 超硬合金、サーメット、セラミックス、ガラスフェライト、石材等 | 高能率高寿命研削 |
※「硬度」(ヌープ硬度):工業材料の硬さを表す尺度、数位が大きいほど硬い。
※「破砕性」(フライアビリティー):砕けやすさを表し、数値が大きいほど砥粒が破砕しやすい=砥粒が砕けることによって鋭利な部分が現れるため、砕けやすい砥粒ほど削る能力が高い。ただし、結合剤など他の条件もあるため、砥粒の性質だけでといし全体の性質が決まるわけではない。
2.粒度
と粒の大きさを「粒度」といい、研削面の仕上げ精度で選定します。JIS規格では、8~3000番まで区分されています。粒度は1インチ(25.4mm)の間にあるふるい目数をいい、小さい数値は粗いと粒を、大きい数値は細かいと粒を表します。
一般と粒の粒度と粒径
粗 粒 | 微 粒 | ||
---|---|---|---|
粒度 (F) |
標準粒径 (μm) |
粒度 (#) |
標準粒径 (μm) |
8 | 2380 | 240 | 50 |
10 | 2000 | 280 | 41 |
12 | 1680 | 320 | 36 |
14 | 1410 | 400 | 27 |
16 | 1190 | 500 | 24 |
20 | 1000 | 600 | 21 |
24 | 710 | 700 | 20 |
30 | 590 | 800 | 18 |
36 | 500 | 1000 | 15 |
46 | 350 | 1200 | 13 |
54 | 297 | 1500 | 10 |
60 | 250 | 2000 | 8 |
70 | 210 | 2500 | 6 |
80 | 177 | 3000 | 5 |
90 | 149 | ||
100 | 125 | ||
120 | 105 | ||
150 | 74 | ||
180 | 62 | ||
220 | 53 |
※8~220までを「粗粒」、ファインズ篩(ふるい)試験による粒度で単位(F)、呼び方は「8F(はちエフ」「36F」などそのまま「数字とエフ」。
※240からの「微粉」、沈降試験方法による粒度で単位(#)は番手を表す。呼び方は「240番」「2000番」など「数字と番」。
一般に粒度の粗いF36まではバリ取り、キズ取りなどの研削作業や切断作業に使用されます。これに対してF46よりも細かいと粒は寸法精度・仕上面粗さが要求される機械研削に主に使用されます。
粗いと粒を使ったといしほど強度は弱くなります。
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